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Please don't cry, darling.
「新一〜、オレなんかしたー?」 朝からずっと顔も見てくれないし、どれだけ話しかけても言葉を発してもくれない。そしてただ今、正午です。 ・・・そう、もう半日もたったんだよ!? 「しんいち〜〜〜」 もう泣きそう・・・・・泣くのなんて何年振りだろ?多分、小学校低学年以来だ。最後に泣いたのはどうしてだったか・・・・・ ああ、そうか・・・父さんが死んだ時が最後なんだ―――――― そう思ったら本当に涙がこみ上げてきた。。新一に気付かれる前になんとかしなきゃ。 だけどオレの意思を無視して次から次へと零れる涙はいっこうに絶えない。 どうしちゃったんだ?オレ。止まんねーよ・・・・・ 「快斗・・・?」 静かになったと思ってちらりと見ると、そこには床にうずくまって片手の平で顔を覆い、わずかに震えている恋人の姿。 「快斗・・・!どうしたんだよ?」 常にない彼の様子に新一は怒りを忘れ快斗に近寄った。 「なんでもない・・・なんでもないから・・・」 頭を振って言っても顔すらまともに見せられない状態じゃ説得力がない。いつもの自分とはかけ離れたその姿に新一がどう思うのか知るのが怖かった。 「快斗・・・・・悪かったよ、だから顔上げろよ」 「ごめん、今ちょっと無理・・・」 「快斗、ごめんな。もう無視しないからさ」 違う、それもあるけどこんなに泣けるのは新一と父さんをダブらせてしまったから。涙の消えぬまま新一を見上げると驚いた表情をしたが、すぐにふわりと抱きしめてくれた。 子供をあやすように一定のリズムで肩を撫でるその手の温もりに安堵して涙が身を潜めた。それでもまだ温もりを感じたくて、新一にぎゅっと抱きついて薄い胸に顔を埋めた。 「・・・ゴメン、新一のせいじゃないから」 「じゃあどうしたんだよ?」 「なんか・・・いきなり親父の事思い出しちゃって、新一までいなくなっちゃったら涙すら出ないんじゃないかと思ったら泣けてきた」 「勝手に殺すなよ。今までいろんな目に遭ってきたけど、こんなぴんぴんしてんだぜ?」 いなくなると聞いて死ぬ時しか思い至らない新一が愛おしい。別れたり、離れたりすることなどないのだと言ってくれたも同然だった。。 「うん、だけど考え出したら止まらなくなっちゃって・・・・・で、もう怒ってない?」 「始めから怒ってねーよ、ただお前怒ったらどうなるかと思って無視してたら怒るかなーって試してたんだよ」 「なにそれ!ひどい!オレ怒るどころか泣いちゃったじゃん、かっこわりー・・・」 罰が悪そうに言う新一を軽く非難するが、心の中では怒ってなかったことがわかり、安心感でいっぱいだった。 「お前がいつも優しすぎるからだ。偶には怒れ」 好きなやつのいろんな表情見たいと思うのは可笑しいことじゃないだろ?お前はいつもにこにこしてて俺のこと見てるから他の顔も見たくなった。青子ちゃんや白馬に向けるような意地悪な表情や怖い顔すら見せて欲しいんだ。 「でも・・・泣いてる顔見れたのはよかったな」 「新一のサドー!新一のSはサドのSなんだー!」 声に出してしまったらしい。聞いた快斗はなんとも情けない顔をしていた。 「そうやって全部顔に出せよ。ポーカーフェイスなんかするな。俺にムカつけばそう言えばいいし、泣きたくなったら泣け。かっこ悪いなんて思わねーから」 そう言うと快斗はにこりと笑った後、熱っぽい視線を向けて耳元で囁いた。あからさまに求める眼をしていて、その眼を見ただけで身体が熱くなる。 「じゃあ、欲しいときはいつでも欲しがっていいの?」 なんのことを言っているのかは一目瞭然だった。 「俺の身体がもつ程度にな・・・」 快斗にすべてを見せろと言っておいて、俺は何もしないんじゃアンフェアだから。お前のダイレクトな感情を手に入れた代わりに俺の身体を差し出そう。 「オレのこと泣かせたんだから覚悟してね?今度はオレが新一なかせるからねv」 「お手柔らかに・・・」 小悪魔のような意地の悪い表情。その表情すら愛しくて、快斗に始まりのキスを贈った。 「積極的だね・・・」 それはとても嬉しいが、理性が持たないかもしれない。 「んっ・・・ぅん・・・はっ・・・・あ、やっ!ここはやだ・・っ・・」 濃厚な口づけの後、本格的な愛撫をしようと服を脱がしにかかるとリビングでするのを嫌がって新一が快斗の肩を引き離す。 「上、行こうか?」 「・・・連れてけ」 「はいv」 膝裏に手を入れて肩を抱き持ち上げる。女の子とは違うけど、しなやかなバランスの取れた綺麗な肢体。 「今日は時間かけてじっくり愛しちゃうからねv」 「しつこくするなよ・・・」 って言っても無駄か・・・ 泣かせたかったわけじゃないのに・・・ |