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12. 愛 時々、真夜中に目が覚める。 記憶は無いが、悪い夢を見ていたのは確かで。 赤子のように泣きじゃくりながら、必死で快斗を探すんだ。 昨日の夜も快斗が家に泊まりに来ていて、一人では決して味わえないような美味しい料理を食べた。快斗は料理が上手い。幼い頃から母子家庭で育ったからできて当たり前だとあいつは言うが、中学から一人暮らしを始めた俺には一向に料理が上達する兆しが無い。料理や他の家事の類は、マメなあいつに向いているのだと思う。 夕飯が済んだら、無駄に大きなバスタブに、昨日は珍しく溢れるくらい湯を張って、どうでもいい話をしながらじゃれ合って身体を洗った。明るい場所で身体を見られるのは抵抗があるが、快斗の身体を見るのは好きだ。均整のとれた綺麗な身体は、着やせをするようで、服を着ているときはスリムに見えるが、実はがっしりとして逞しくもある。 同じベッドに入ると旧知の友人のように話しをし、そのうち自然に、どちらともなく手を伸ばす。大抵は俺が下に組み敷かれ、快斗の手が縦横無尽に快楽を引き出すのだ。あられもない声を快斗は悦ぶ。押し殺そうとするとあらゆる手段でそれを阻止される。その後は羞恥を忘れるのを待つだけ。 それは何気ない、此処数ヶ月で築かれた俺たちの生活習慣。 幸せだ。俺の側には毎日こいつがいる。すごく幸せなんだ。 「かいとー……」 額にかかった前髪を退けながら呼んでも熟睡している男は起きない。裸の肩に手を乗せ、露わになった額に、通った鼻梁に、くっきりと浮いた輪郭に唇を落とした。 また一つ涙が頬をつたう。重力に沿って下に落ちたそれは快斗の頬に着地した。舐め取った雫はしょっぱくて、快斗も最中はこんな風に思いながら舐めてるのかな…と思うとおかしかった。 最後に、薄く開いた口唇に自分のそれを重ねる。 唇を離して、好き勝手に頬を撫でても、眠る男は起きない。 だから知らない。俺が夜毎こうして呟いている事。 「快斗、愛してるよ―――――……」 fin お題負け…こんな壮大なテーマで何を書けと!(060507) |