08. 制作
(黒羽:15歳、工藤先生:25歳です;)







「はぁ、………ぁ…っ…!」
「センセ、大丈夫??」

 内腿に口を寄せながら囁いて、言葉とは裏腹に挑戦的な視線を送る。年のわりに成熟した身体と精神を持つ男。俺の教え子。
 我が物顔で人の身体に指を滑らせ、為されるがまま背をしならせる俺を見てほくそ笑む。生意気な表情には年上の余裕で返したいところだが、快楽に支配され始めた身体では、物欲しげに見つめることしかできない。
 ごつごつとした木製の机の上での情事は背中が擦れて痛かった。長さの足りないそれのせいで頭が半分ちゅうに浮く。髪が木のささくれに引っ掛かって乱れる。それでも俺は、いや、俺たちはここでするのが一番好きなのだ。

「やっぱり先生エロ……もう、挿れてもいい?」
「ふっ、我慢できないのか?」
「うん。俺若いから」

 素直に頷くと、黒羽はゆっくりと身を沈めた。
 黒羽は優秀な生徒だ。成績は常に二位と大差をつけてのトップで、スポーツ万能、その上教職員間での評判もいい。生真面目ではないが、職員とも友だちのように話す愛嬌のある性格だ。
 俺がこの学校に赴任して、最初に黒羽を見たのは、この準備室の隣、美術室だ。

「あっ、……ん!」
「きつ………先生、痛い?」
「へ……きだ………あ、あっ…」
「眼開いて、こっち見てよ……先生」
「くろば…っ」

 腰を微妙に動かしながら侵入してくる黒羽の熱。男である俺が足を開かれ、肩に担がれ、張り詰めた牡を受け入れる。羞恥を凌駕するのは、各所に与えられる悦楽と……黒羽の瞳。

 一年前はもう少し幼かった。運動部が惜しむ中、美術部に属していた黒羽の話は先任の教師から聞いていた。そして実際に作品を見て納得した。理屈のつけようのない天才なのだと。14歳にしてあの完成度。絵は趣味と割り切って、しがない教師を続けている俺とは違うのだ。
 それでも、俺はひっそりと絵を描いていた。部活後、早朝、夜中…不思議とこの学校に赴任してからというもの、忘れかけていた創作意欲がかきたてられた。
『俺先生の絵好きだよ』
 隠しているつもりもなかったが、不意に見られてしまった絵に黒羽が言った。



「センセ、集中してないだろ……酷くするよ?」
「餓鬼。おまえと初めてヤったときのこと思い出してただけだ」
「昔の俺より今のほうがいい男だろ?背も先生追い抜いたし」
「立志式終えたばかりのやつがなに言ってやがる」
「くそぅ………失神しちゃうくらいヤリまくってやる…」
「え゛……ちょっと待っ…」
「動くよ」
「くろ……んっ!や、…ああっ!」

 こういうところはまだまだ餓鬼っぽい。宣言どおり容赦なく突き上げる様はむきになっているようにも見える。ピンポイントに要所だけを狙う動きに喘ぎながらも、黒羽がかわいく思えて、震える指先でくせっ毛を梳いた。

「新一……すげーイイ…」
「か…いと……んんっ!」

 口と口を重ねて、舌を絡め合う。端から零れた二人分の唾液が俺の頬を伝って机に落ちた。口が塞がると、行き場を失った熱が体内に溜まって下肢に集まり、黒羽の動きに合わせて腰が揺れだす。無意識に黒羽を締め付けると、黒羽が耳元に熱い息を吐いた。徐々にその息が荒くなり、腰が激しく打ち付けあう。絶頂への道のりはできた。

「一緒に、イこ……しんいちっ」
「あっ、は、あ―――――!!」

 奥に黒羽の欲望が吐き出されると同時に、自分も黒羽の腹に白濁を放っていた。



「先生!せーんせっ!」
「んだよ?」
「俺今度出品する絵描きたいから放課後美術室空けといてー」
「わかった。熱心なのはいいがほどほどにな」
「はーい。けどエッチは手抜かないよv」
「黒羽!おま、廊下で……」
「大丈夫だってー、じゃ忘れないでよ工藤先生?」

 何処からともなく現れては情事の約束をして駆けて行った。その場から動かずに様子を見ていると、黒羽は廊下の突き当たりで友人と談笑しながらこちらに艶めいた視線を寄こす。負けじと色を含んだ視線を返して背を向けた。
 こうして今日も腰が砕けて立てなくなるまでヤるんだろう。




fin









先生ものがスキダカラ(060324)
BACK