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07. 光 彼はいつも眩しい。 警察のヘリの真白なライト。裾から出す閃光弾。反射する片眼鏡。 幾度対峙しようとも、俺にはやつの輪郭しか見えない。 跳ね上がった髪の毛は多分、茶色がかった黒。恐らく東洋人。 こんな曖昧な情報に埋もれて。現れる度眼で追って。 白いカイトが夜に浮かぶ度苦渋を味わう。 予想ほど若くないかもしれない。 器量が悪いかもしれない。 正体が平凡すぎて笑えるかもしれない。 でも、俺は彼に特別な感情を持っている。 ああ、これを恋というのなら、これほど不毛なことはない。 俺はやつの輪郭しか知らない。 (「歎きの名探偵」より) fin もちろん実在しません歎きの名探偵(060311) |