04. 儚さ







「快斗のばぁか」
「いきなりなに新ちゃん!?ひどいよっ!」

 普通のことには打たれ強いこの男。

「ばかにばかっつって悪いのか?」
「しくしく…恋人の反抗期だ」
「おら、早くメシ作れよ腹減ったんだよ」
「はいただいま」

 何言っても大概俺の言いなり。
 だけど。



「明日、ちょっと蘭とこ行ってくる」
「そう…」

 NGワードにはとことん弱い。
 誰もキスしに行くなんて言ってない。ただ用事があるから会いに行くってだけだ。

「快斗」
「わかってるよ」

 嘘だ。だってさっきから俺の眼を見ない。

「おい快斗」
「なに……」

 下ばかり見るやつの髪を引っ張って、強引に口づけた。
 自分から口を開いて、舌を誘い込む。
 違わず俺の意思を理解して、期待通りに舌を絡める男。
 さっきまでの気弱なやつの手管とは思えない巧みで強引な舌の所作。

「……っ……は…!」
「新一……」
「おめーほんとばか」
「好きだよ」
「わかってる」

 俺も弱いお前を愛しているよ?
 死ぬときまで言ってやらないけれど。




fin









(060304)
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