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19. 童話 或る所におじいさんとおばあさんがおりました。 或る日のこと、おじいさんは芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。 おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。 美味しそうな桃だと思ったおばあさんは、おじいさんと食べようと桃を背負って家に帰りました。それはひたすら重い桃でした。 家に着いて真っ先に桃を割ったところ、なんと、中から元気な男の子が出てきました。 子供のいなかったおじいさんとおばあさんはその男の子を育てることにしました。 「桃から産まれたので桃太郎と名づけよう」 おじいさんの言葉にあばあさんは頷きました。しかし男の子はそれを許しませんでした。 「そんな名前は嫌です。僕のことは快斗と呼んで下さい」 にっこりと、しかし有無を言わさぬ目で男の子は言いました。 それから数年、快斗は瞬く間に成長していきました。 おじいさん、おばあさんと穏やかに暮らしていた或る日、快斗の耳にある噂が飛び込んできました。 「快斗や、最近、遠くの島で鬼が出て、若い女子や金銀財宝を奪っているという噂じゃ」 「…それでは僕がその鬼を退治して見せましょう(暇なので)」 ついでに若い女をみつくろって嫁につれて帰ろう。そう思いましたが声には出しませんでした。 こうして、快斗はなんのあてもなく鬼退治に出かけました。彼は村で畑を耕すだけの毎日に辟易していたのです。 なぜか体を鍛えていた快斗は、鬼相手にどれだけ通用するか確かめようとワクワクしていました。 旅の途中で、食料で釣った犬、キジ、猿をお供にしました。 「ワンワン!」 「ケーン!」 「キーキー!」 「うるせぇな…静かにしねぇとてめーらを食料にすんぞ」 「……」 どすのきいた声に3匹は静まりかえりました。 途中の町で情報を集めながら、なんとか快斗たちは鬼ヶ島に辿り着きました。 「クゥ〜ン…」 どす黒く湿った雰囲気の鬼ヶ島を前に3匹は身を竦ませました。 「おい、もたもたすんな。早く行くぞ」 おかまいなしに歩き出した快斗の後を、3匹は慌ててついてゆきます。 3匹にとって快斗の命令は絶対なのです。 「ちょっとお邪魔しますよーっと」 快斗は躊躇いもなく鬼の棲家に侵入しました。そこには若い女と財宝、食料をはべらせた鬼がいました。 鬼たちは突然の人間の出現に驚きました。 「お前はなんだオニ!?」 「人間だオニ!」 「なんだか新一に似てるオニ!」 「新一?つーかオニオニうるせぇな。どんだけ存在主張すれば気が済むんだっつの」 「こ、こいつ生意気オニ…捕まえて海に沈めるオニ!」 鬼たちは一斉に快斗に飛び掛りました。しかし、案の定弱かったのでどれも快斗が腕を一振りしただけで気絶してしまいました。 「くそ!こうなったら新一を呼ぶオニ!」 「だから、新一って誰だって」 「新一は特別オニ!お前なんて手も足も出ないオニ!」 「あっそ。そいつも語尾にオニつけてしゃべんのか?」 快斗が戦うのに飽きて、鬼をからかって遊んでいると、奥から白い鬼が現れました。それは、小太りで赤青緑の鬼たちとは異質な、ほっそりとした真白な鬼でした。 「お前たち、人が寝ているというのに何を騒いでいる」 快斗は不機嫌そうにそう言った鬼に目をやり、そのまま暫く目が離せませんでした。 新一と呼ばれた白い鬼は、腰にわずかに布を巻いただけの格好で、細い脚のほとんどを晒しているのです。しかし、快斗は、体だけでなく新一の容姿にも目を奪われます。他の鬼がゴミにたかるハエにしか見えないほど、新一だけずば抜けて美しいのです。 「おい、犬、キジ、猿!」 呼ばれた3匹は身を正し、一列に並びました。 「白以外の鬼の相手してやれ。くたばったら女や鬼どもを洞窟の外へ連れ出せ。それから先は好きにしていい。ただし、ここには戻ってくるな。いいな?」 上から見下しながら命じた快斗に、3匹はただ頷きました。 「そこの人間、何勝手に入ってきてるんだ?場合によっては俺が相手になるぞ」 「とりあえず、ここじゃなんだから、奥に行こう」 快斗はそう言うと、素早く新一の体を肩に担ぎ上げました。 犬や猿に攻撃されている他の鬼たちは、主が奥へ連れ込まれている様を目の当たりにしました。 「ちょ、てめ、離せこの馬鹿力!」 「鬼のくせに人間の力に負けるんだな」 「なにを……ってお前……どこ触って…っ」 肩に担いだまま尻を撫でた快斗に、新一の声がつまります。 気を良くした快斗は、布の下に手を入れると口角を吊り上げて言いました。 「この布キレの下ってモロなんだ?いやらしいね〜」 「降ろせっ!この変態!」 「着いたみたいだから降ろすよ」 細い通路を歩いた突き当りの部屋が新一の個室でした。 快斗は、普段寝ているであろう場所に新一を降ろし、すぐに体重をかけて新一をその場に縫いとめます。 「おい人間!一体何がしたいんだ、お前は!」 「あんたの胸についたそのピンク色のとこ吸わせて」 「なっ……!!」 言われて新一が両腕で胸を隠しました。しかし、次の瞬間目に飛び込んできたものに言葉を失います。 「着ていたのがこのちっせー布一つだなんて、襲ってくれって言ってるようなもんだぜ」 そう言って快斗は、新一の身を覆っていた唯一のものを持ち、目の前でひらひらと揺らします。 「角の先から足の先まで、すみずみ愛してやるから、おとなしくしてろよ」 部屋の外では、快斗のお供(という名の手下)の3匹が退治した鬼を外へと連れ出しているところでした。撤収間近であるその空間に、わずかな喘ぎ声が漏れ聞こえ始めました。咽喉の奥から絞り出した、尾を引く嬌声に、3匹はそろって思いました。 快斗さんほんとにやりおった。 3匹は覗いてみたい好奇心に気付かぬ振りをして、そそくさと洞窟を後にしました。 さわらぬ神に祟りなし。 それからというもの、近隣の村に鬼が現れることはなくなったそうな。 しかし、快斗が村に戻ることはなかったとさ。 めでたしめでたし。 ちっともめでたくないという感じで終わり 悪ふざけが過ぎました(070408) |