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13. リボン ピンクのリボンのついたカチューシャをした少女が立っていた。 それは俺が誕生日にやったもの。 「快斗は……?」 「いないと思うよ」 「嘘!家に居ないときはいつもここにいるっておばちゃんが言ってたもん!」 「ならいるのかもね。見ればわかると思うけど、俺今帰って来たばかりでさ」 鞄を見せて新一は飄々と告げた。 少女は、きっと顎を引いて睨むと悲鳴のような金切り声をあげる。 「快斗を返してよ!!」 「返すもなにも、盗った覚えはないけど?」 「じゃあなんで快斗は側にいてくれないの?今までずっと一緒にいたのに、あなたに会ってからどんどん快斗が遠くに行っちゃう……」 「そんなの、俺の知ったことか」 新一からすればそれは、側にいたときに行動を起こさなかった少女の甘え以外の何物でもない。いなくなってから相手に返せと罵ったところで、全ては後の祭り。 「どうして?どうしてあなたなの…?男同士で、…おかしいよ……」 「欲しいなら言ってみたら?男同士なんておかしいから帰ってきてってさ」 「言っても無駄だもん…」 「どうして?」 「あんたが快斗を銜え込んで離さないから」 オクターブ下がった声に、その科白に新一は閉口した。 「早く快斗を離してよっ!」 「…………快斗快斗うるせぇんだよ」 「なに……?うるさいって…」 「悪いけど下品な女のヒステリーに付き合ってる暇はないんだ」 「ちょっと、……」 新一は少女の言葉を遮るように一歩前に出て、カチューシャに手を添える。そして、左に寄った位置にあるリボンの端を引いて解く。 「さっさと帰んな。中森青子さん。今日も黒羽はこっちに泊まるからよ」 新一の冷たい眼差しに、少女は悔しげに眉根を歪めて立ち去った。 「派手にやりあってたね」 「俺、あの青い子キライだ…」 その言葉にくすくす笑うと新一がじろりとこちらを睨む。 「お前がちゃんと振らないからいけないんだぞ」 「何回も言ったよ?家族みたいにしか思えないって」 「ほんとかよ…」 「わかってもらうにはまだ時間かかるみたいだけどね。それにしてもあいつ下品な言葉使うようになったなぁ」 「銜え込んでってやつ?あれは俺もびっくりした」 その通りだから否定はできないよね? 言うと新一が珍しく怒りもせず今から実践するかと言い出す。願ってもない申し出に、俺は新一のシャツに手を忍ばせながら魅惑的な唇に吸い付いた。 「新一、今度青子が来たら俺も呼べよ?」 「んっ、………あっ…青子って言うなよっ!」 「はいはい、青い子ね。もう一人で傷付かないで、新一」 生理的に溢れ出す涙を舐めとって、掌を重ねると、新一が力なく微笑んだ。 fin セプテムねぇさんが竜也に言っちゃった一言を拝借(060513) |