11. 樹海
(教師:黒羽、生徒:工藤 です。多分男子校)





 カーテンを開けると、ジャージを着たままの工藤が横になっていた。
「おい、何をしているんだ」
「先生こそ」
 上体を起こして工藤が俺を見上げる。大きな瞳を怪訝そうに薄め、自分で布団を剥いで俺に見せる。白い包帯が見えた。
「体育の時に転んだ」
 不貞腐れて俺から眼を逸らすのは、次に俺の口から出る言葉を予想しての事だろう。
「……その怪我で、どうやってここまで来た?」
「自分で歩いて……」
「一人でか?」
「………クラスの奴に、肩、貸してもらった」
「包帯は?」
「保健室のせんせ…」
「今日は県の集まりでいらっしゃらないはずだが?」
「…………う」
「お前は嘘をついてばかりだな…」
 俯いて口を閉ざしている工藤を、半ば呆れながら見下ろした。ベッドの上で片膝を立てており、巻かれた包帯の中心に僅かに血が滲んでいるのが見てとれる。器用な人間ではなかったのであろう、包帯は軽く引けばすぐに解けそうに緩かった。
 ちっ、ハーフパンツで体育なんてしやがって。
 おまけにあんな不細工なやつに身体を触らせて。
「かせ」
 返事を聞かず工藤の脚を取る。包帯を雑に解きはらって赤く熟したそこに舌を這わせた。
「せっ、んせい………やめっ」
「土くさいぞ…洗ってないのか?」
「………ぅっ!」
 舌でソコを強く押せば、工藤が痛みで首を逸らす。足首を掴んで不必要に高く持ち上げている為、自然と起きていた工藤の上半身はベッドへと逆戻りしている。その足首を押して、更に脚を折り曲げ、自分はベッドに膝をついて工藤の上に乗り上げる。俺の影になった工藤の顔が一瞬で赤く染まった。
「そんなに、怒ってるの?」
「お前が考えている以上には、な」
「俺、怪我してるんだけど…」
「後で俺が巻き直してやる」
「ここ保健室だよ」
「鍵なら閉めたさ」
「用意周到だね。本当は俺がいるの知ってて来たんじゃないの?」
「おしゃべりは終わりだ、新一」
 コトの前の、期待とも誘惑とも取れる美艶な表情をする新一。自分で脚を開けて俺を招く辺り、無意識だから性質が悪い。消毒だ、と知らない男に触れていた腕を舐め腰を撫で回すと、工藤が表情を変えた。
「…ぁ…っ………どっかで見てたな!」
「さぁな」
 見ていたらどうだと言うのだ。見せつけて俺を煽るか?そいつを放って俺のところに来るのか?
 耳朶を食みながら、体操着の中に手を侵入させると、工藤の口からは切れ切れに出る先生という言葉と喘ぎ声以外出なくなった。
 快楽に弱い年頃なのはわかっている。男しかいないこの異常な空間だからこそ抵抗を感じないのだということも。

 工藤をいいように操っているように見えて、しがらみに絡まって動けなくなっているのは俺だけだということも。




fin









最近暗いの多いです(060429)
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