|
encounter 「お前、家は?」 「米花町2丁目…です」 「了解」 俺を乗せるとその人は新しい煙草を取って火をつけた。この匂いはかなりキツイ煙草だ。そういえば見る度に煙草を吸ってるな。と、言うほど何度も見ている訳ではないが。 「あ、あの………すいません。僕のせいで車のシート濡らしてしまって」 「別に、カバーしてあるから平気だろ」 「すいません…」 素っ気ない言い方は常に怒っているようでずっと謝ってばかりだ。車から声をかけられた時は、まさか送ってくれるだなんて思わなかった。このスポーツカーは彼の愛車らしい(萩原情報)。それに、こんな姿の自分を乗せるだなんて。 髪から滴る雫が鼻を掠めて手の甲で砕けた。雨を吸い取った衣服は夏の暑さと無関係に体温を奪う。寒い…でも車内の温度は28度…そう思って初めてこの車の違和感に気がついた。 冷房が、ついてない…… 外が雨であろうと真夏の車内は暑い。今新一が普通の恰好をしていれば、間違いなく暑いと感じていただろう。 変な人……… 冷たいのか優しいのか。不意に、萩原が前に「松田はシャイだから」と言っていたことを思い出した。もしかしてあれ本当なのかな? そんな事をつらつらと考えながら、シフトに添えれらた松田の骨張った手を見ていると、程なくして車がコンビニエンスストアに止まった。 「煙草買いに行くけど、なんかいる物あるか?」 「僕も降りま……いや、えーと、缶コーヒーをお願いします」 自分の姿を思い出し、おとなしく車内で待機する。店の窓越しに見える松田は足早に飲料水の棚に行き、そこで携帯電話を取り出して、誰かと話を始めたようだ。ちらっとこちらに目線が流したと思った時には眼が合っていて、逸らす事もできずに固まっていると、すぐに奥のほうへ行って見えなくなってしまった。 なんだ?と思うがさして気にせず、濡れた前髪をかき上げた。 「なんだよ、萩原か」 『なんだはないだろ松田。まぁ別にこれといって用もないんだが』 飲料水のスペースの扉を開け、適当に自分の飲み物とコーヒーを手に取った。 「用事もねーのにかけてくんなって……そんなことより、ちょっと聞きてーことあんだけど」 『なんだ?』 「今日、高校生の工藤が関わった事件ってあるか?」 今俺の車に小さく座ってるあいつ。 返事を聞く前に無意識にそちらを見ると、ばちっと眼が合った。 『おい、松田!聞こえてんのか?』 「ああ、わかるか?」 ぱっと眼を離し、窓に背を向けて店内を歩く。 『今日も殺人事件を一件解決だよ。一課の奴らが零してたぜ。犯人の家族が……』 「ほらよ」 「ありがとうございます…」 松田は遠慮がちに缶コーヒーを受け取った高校生を見下ろした。 はぁ…、慰めるなんて柄じゃねぇよな…… 車を発進させてからも、萩原の言葉が頭から離れない。自分が言われても辛いであろう言葉を浴びせられ、一体どんな気持ちでいるのか。若いその心にどれ程の傷を負っているのか。考えると遣る瀬無くなる。と同時に、何かしてやりたいという父性愛のような感情が湧いていた。 「家に着いたら…すぐに風呂入れよ」 「はい。今日は本当にありがとうございました」 「お前、俺が通りかからなかったら、どうするつもりだったんだ?」 「…歩いて帰ろうと思ってました」 「この距離をか?そりゃ無謀だな」 「そうですか?」 「自分を虐めるのもほどほどにな」 「自愛しているつもりですよ」 「どうだか。お前が行水したところで筋違いな恨みは消えないぜ?」 「筋違いじゃないですよ…僕がいなければ捕まらなかった人だから」 「随分な言われようだな、警察も」 「…………何が言いたいんですか?これくらいでヘコむくらいなら出しゃばるなとでも?」 「ガキはガキの領分をわきまえろってこった」 「またそれですか…」 新一は初対面での言葉を思い出して苦笑した。濡れた前髪が頬に触れるのを煩わしく感じ、軽くかき上げてから隣を見ると対向車のライトを浴びた松田と眼が合った。 「え……?」 信号で止まっている暗い車内で、いつの間にかサングラスの外された松田の眼が新一を捉えた。新一はただじっと松田の仕草を見つめる。初めて見る彼の眼に妙にドキドキして、だけどそれを知られぬよう必死にポーカーフェイスを保った。不意にシフトから離れた手がそっと新一の白い額に添えられる。 「あ、あの……」 「熱はねぇみたいだな…」 手を離すと同時にニヤッと笑う。 前の車の発進の後、松田は何事もなかったように運転を再開した。 新一は、額に意識を集中し、離れても消えぬ熱に頬を染めた。 心臓がばくばくと煩い。顔がアツい。なんか……ヤバイ。 なんでもずけずけと言うこの人が苦手だったのに。 サングラスの奥の表情になんて興味なかったのに。 今日でそれが変わりそうで怖い。 「ここでいいんだろ?」 「あ、はい。ご迷惑おかけしました」 「風呂入って早く寝ろよ」 「また子供扱いですか…」 「お前はまだ子供だ。」 「あなたから見ればそうでしょうけど…」 なんだか悔しくて言い返す。この反応が既に子供なのかもしれないが。 「ガキはガキらしく大人に甘えりゃいいんだぜ?」 ガキガキと連呼する松田に反論しようとした新一だが、思いの外柔和な表情に言葉が詰まる。 「甘えても、いいんですか…?」 「あ?」 「いえ、何でもないです。おやすみなさい…」 上目遣いで問うた後、新一はそそくさと自宅の門の前に立つ。一度振り向くと松田に向かって微笑んで軽く会釈し、ロックを解除して広い庭へと消えてゆく。 松田はサングラスをかけ、煙草に火をつけて工藤邸を後にした。平静を装ってはいたが、工藤邸を離れて一つ目の信号でブレーキを踏むとハンドルに顔を突っ伏す。 「やべぇな………」 すっげぇムラムラした…… あんなガキ相手に何やってんだか… こうして、いつもと違う二人の夜は更けてゆくのであった。 end 中途半端でしかもラブ度足りなくてすみませんです…;恋人未満ということで。 濡れた新一さんが書きたかっただけかも... 松田さんの車。興味のある方だけどぞ。 原作では佐藤さんがMAZDAのFDセブン(高橋弟・啓介の…)で佐藤さんと松田繋がり?とか勘繰ってみたのですが。 松田だからMAZDAでセブンがいいやと思ったのですがそれは佐藤さんがFD乗られているのですよね。 だとしたらサバンナかロードスター辺りでしょうか?Tさまも推奨されていることですし(笑 てか、MAZDAの車はそれ以外でいいの思いつかないっす(^^; TOYOTAだったらスープラか昔のソアラ?もっと警察っぽくMR2もいいかもvセリカは個人的にちょっと無しかと…。 あとエボ系も似合わない気が。ごついから。 というわけで考えてみた私的松田車。是が非でもスポーツカー。 MAZDA→FC トヨタ→スープラ(型番わからん ホンダ→インテグラ、S2000 ニッサン→180SX が理想。このページ検索除けしとこう…。 |