Jesus !









「ありがとうございました〜〜」

ん?なんだこの鼻に付く陽気な声は??
快斗がうきうき気分で工藤邸に到着すると同時に玄関から出て来た胡散臭い奴(黒羽快斗視点)。
不躾な視線を寄こせば相手はにっこりと笑みを見せて横をすり抜けた。

今の奴、完璧な作り笑顔…でもあの何かをやり終えた一仕事の後の様な表情はなんだ?
………凄く嫌な予感がする…

「まさか、新一……また?」

急がないと、また新一のあの病気が始まった…


「おう、快斗♪これ見ろよ」
「………今度は何?」
「身体に善いんだってさ。すげー安くしてくれたんだぜ」

いい買い物をしたとほくほく顔の新一とは対照的に快斗はゲンナリとした。

「それでこれは一体何なのですか?」

床に鎮座する箱を見ると何やら袋詰めにされたものが大量にある。

「シャンプーセット」
「何でそれが身体に善いの?」
髪にいいならわかるけど。
「頭皮から身体に必要なビタミンをおくり込んでさ、それで一日に必要なビタミン全部が取れるんだって。口から入れるより便利だろ?髪にはミネラルが補給されて一石二鳥らしいぜ」

ニコニコと嬉しそうに笑うのはいいのだが、あの優秀な頭でどうしておかしい事に気付かないのか。第一この量はなんだ。

「有り得なくない?それ……」
「でもあのおっさん……、こ…恋人は髪が綺麗な方が喜ぶって言ってたし…お前いつも栄養取れって言うし…」
「あああ…新一新一、怒ってるんじゃないよ?ちょっと冷静になって欲しいだけだから!それにそんな怪しいモンなくても充分新一は髪綺麗だからね?」
「でも栄養…」
「それはオレが新ちゃんに作ってあげるからそれから取ればいいの!そっちの方が快斗くんの愛情も一緒に摂取できていいでしょ?」
「…………コクン

ああ、赤い顔で無言で恥ずかしそうに頷く新一…神の与えたもうた奇跡だ…!
今すぐ抱き締めていちゃいちゃしたいけどまだやるべき事が残っている。

「それで…いくらで買ったの?」

とっても聞くのが怖い…金銭感覚の教育は中々上手くいかないのだ。

「一つ二千円でシャンプーリンスセットで四千円……」
「うわ、高……で、ここにあるのが10セットだから四万か……」

まぁ、新一にしたら被害が少ない方か…やれやれ。

「ちがう」
「え?」
「二つ合わせて一万本買ったから全部で二……千、万………?」

言いながら冷や汗を流し始めた新一。漸く何かおかしいことに気付いたらしい。

「……………ジーザス」
「俺、あのおっさん探してくる!」

おろおろとして玄関から出て行こうとする新一。

「待って、新一。お金もう渡しちゃったの…?」
「うん……小切手で…」

快斗が怒るのではと心配で俯いて返事をした。それを見た快斗は怒りに震える。もちろんそれは新一に対してではなくて。

「……あのクソジジィッ!!!オレの新一の白魚のような手からそんな大金をせしめてしゃあしゃあとして帰りやがって!!許せねー、断じて許せん!!!!」

これは過去最大の被害額じゃないか!いくら工藤家が裕福だからってこんな金に関しては幼子のような可愛い新一を騙すなどっ!言語道断!!

「どうしよう…快斗……」
「オレに任せてっ!!あのジジィ見つけて突っ返してくるから!!!新一は小切手を取り返して帰ってきたオレの為にミルクティーを淹れておいてねv」
「うん……待ってる」

言うなりシャンプーリンスの詰まった重い箱をひょいと持ち上げ、戦場に赴く兵士宜しく新一に行ってきます!と告げる。それに新一も無事に帰って来いよ、待ってるからな…と何故か瞳を潤ませて手を振り見送るのだった。



「まったく、毎日が寸劇みたいだわ……」

隣家から様子を窺っていた科学者は今日も溜息と共に隣のカップルを見守るのだった。






.end









一万ヒットありがとうございましたv
一万にちなんだことを書こうと思っただけなのにこんなでスイマセンです、はい(汗