「おい、勝手に入ってんじゃねーよ。空飛ぶ変態」 言うが早いかげしっ!と一蹴り。 「いってぇーっ!酷いよ名探偵!!」 怪盗、しなを作って涙目。 簡単に言うと二人はこんな間柄。 *************** turning point *************** 「ったく、何度言えばわかるんだ?お前は怪盗、俺は探偵」 「わかってるよ、そんなこと…」 「ならどうして夜な夜な家に侵入してんだてめーは!ああ?理由を言ってみろっ」 びしっと人差し指で正座中の怪盗を指差して問いただす。因みに新一は仁王立ちである。 「だって会いたいんだもん」 「もんじゃねー!仮にも天下の大怪盗が可愛らしい言葉使うなッ!」 「そんなに怒ってばっかだと血圧上がるよ、新一v」 「〜〜〜〜〜〜〜テメェは!」 人がお説教モードで怪盗の間違いを改めてやろうとしているのに! 新一大いに怒る。 「だってさ、白馬のヤローが来てるから新一現場に来れないんだろ?そうなったら会う機会なくなるじゃん、オレたち」 「まぁ普通に考えればな」 「よく考えてみて?」 「・・・・・・・・・・・・」 考えてみた。・・・・・・・・・で? 「それってすごく寂しくない?」 「・・・・・・・・・頭痛がしてきた・・・・・・・・・」 「ええ!?大変大変!大丈夫?哀ちゃん呼ぼうか?」 「いや、いい・・・・・・・・・一過性だ」 もう何も言うまい・・・・・・・・・ 初めて会った時はこんな奴ではなかったはずだ。何処がどう間違ってこんな人格を披露するようになったのか・・・ハハハ・・・ 誤った方向に向かってゆくキッドを正せなかったことを後悔しつつ新一は遠くに目をやって物思いに耽る。 「めーたんてーv」 「なんでしょう?キッドさん」 そっちがその気ならこっちも合わせるまでだと半ばヤケクソに新一は返した。 「ご飯作るからキッチン借りてい?」 「どうぞご自由に」 にっこりと笑顔で聞く怪盗に引きつった笑みで答えると、何処からともなく出したエプロンを身に着けて怪盗は鼻歌交じりにキッチンへと向かった。 気が利くじゃねーか、ちょうど腹減って・・・ってそうでなくてっ! あいつは俺に犯されたいのか・・・?あんな可愛いエプロンまでして・・・いやいやそうでもなくて っ! 「美味いじゃねーか・・・」 俺様の舌を満足させるとは・・・いい嫁になるぜ。 「そう?良かったv」 怪盗の作った物はシチューであった。味に煩い(坊っちゃんだから)新一も褒める出来栄えに怪盗自身満足そうだ。 「お前、彼女にも作ってやれよこれ。絶対喜ぶぜ?」 「意地悪さんだなぁ、名探偵は」 「は?なんで?もしかして振られたとか?」 ソファに膝を立てて座っていた怪盗は眉間にシワを寄せて俯き加減で告げる。 「そうじゃないけど、天然ってこれだからなぁ・・・」 やれやれと怪盗は盛大に溜息を吐いた。 「感じわりーな、何なんだよ?」 「好きな人に彼女いて当然みたいな扱いされるとヘコむ」 新一をじっと見て冗談ではないことを眼で訴える。すると困ったような新一の顔。 「それを俺はどう捉えればいいんだ?」 「感じたままに」 困られるとは思ったが、予想外に新一の反応は薄い。既に気付いていたのか、淡々として言葉を述べる。 「・・・・・・何で俺なわけ?」 「なんでと言われても・・・」 こちらも不思議だ。何故宿敵である探偵に惚れてしまったのか。しかも、とびきり厄介な名探偵に。 「俺といたっていいことないぜ?見ての通りオスだし、我儘しか言わねーし、しょっちゅう危険な目に遭うし、それに・・・いつか裏切るかもしれねーだろ?」 「随分卑下をなさいますね。でも、貴方は少なくとも私を蔑ろにはしない。正反対の立場にいながら一生懸命理解しようとしてくれましたよね?」 きっと、そんなところに惹かれたのでしょうね キッドの穏やかな笑みに新一は頬が高潮するのを感じ、ぷいっと顔を窓の外に向けてしまう。 「言ってて恥ずかしくねーのか・・・」 相変わらず気障な奴。さっきのバカキッドはどこ行ったんだっつーの。聞いてるこっちが恥ずかしいよ・・・ 「意地っ張りなところも可愛らしい」 クスリと微笑して言う怪盗の掌で踊らされている気がする。さっきまで優位に立っていたのに今ではすっかり形成逆転だ。 「うっせ!俺といてもなんにも得しないんだからなっ!」 「私は出会ってからの短い時間で貴方からたくさんのものを頂きましたよ?」 「へ?なんかやったことあったか?」 「クス、・・・実体はないのですがね。心のゆとりと、貴方を想う事の幸福感とでも言いましょうか」 とても大事な物でしょう? 「・・・・・・・・・・・・っっ!」 小首を傾げて流麗に告げる怪盗に新一絶句。 「貴方と出逢って得た物は大きいのですよ。それも全て貴方のおかげです」 「も・・・・・・」 「どうしました?」 「てめーはもうしゃべるなっ!!」 カーッと頬を高潮させて可愛い顔を見せた後、新一は脱兎の如くリビングから出て行った。 「おやおや、嫌われてしまいましたか?」 敬語攻めは効果抜群だな、と思いながらどうやって新一を部屋から出そうかと思案に暮れる怪盗であった。 .end |
新ちゃんが落ちた瞬間。ヘタレと思いきや確信犯的キッドさま。
を書きたかったんだ、と思うよー・・・