calling 「探偵君」 振り返れば不遜に俺を見下ろす怪盗。 「遅かったな」 「小学生は寝る時間では?」 「そんなこと言う為に降りてきたのか?」 ビルの屋上で一定の距離をとって対峙する。お互い腹の探りあい。 「まさか。貴方にこれをお渡ししようと思いまして」 怪盗が見せた掌にはキラキラと光を反射して煌くビッグジュエルがあった。毎度のことだが何故俺が…と思いながらそれを受け取りハンカチで包んでポケットに仕舞う。 「では、わたしはこれで失礼します。探偵君も早く帰らないと彼女が心配しますよ?」 「余計なお世話だ」 吐き捨てるように言うとキッドは口角を上げてその場から飛び立った。 「名探偵」 「んだよ?」 コツコツと既に開け放たれた窓を叩きながら怪盗は探偵の宅に堂々と侵入する。新一は慣れたもので、パソコンから眼を離さぬまま対応していた。 「名探偵」 「だぁから、ナンだってんだよ?」 「話をする時はこちらを向いて欲しいのですが」 「どうせ宝石置きに来たんだろ?そこの机の上に置いてさっさとお帰り下さい」 「うーむ、こうなったら強行手段しかないようですね…」 何が強行手段だとキーボードに手を走らせながら思っていると近寄ってきたキッドに片手を引かれ、ぐいと目線を合わされた。 「新一」 「・・・笑ってんなよ」 「貴方が、変わらないから」 「だからって笑うな」 「コナンの時もそうでしたよね?」 名前を呼ぶと照れる。そうしないと機嫌が悪くなる。つくづく可愛い人だと笑みを浮かべてしまうのは仕方のないことだ。 「キッドは、どっちの方が好きなんだ?名前で呼ばれるのは嫌いなのか?」 不思議そうに小首を傾げて新一が問う。キッドにすれば答えなんてわかりきったことなのに。 「貴方に呼ばれるのなら、どちらでも構いませんよ?」 「またそんなこと言って・・・」 呆れて離れようしてもキッドは簡単には離してくれない。 「本当だよ、新一」 それどころか、耳に直接そんな台詞を言われると、どんどんやつの術中に嵌っていく。 「・・・・・・快、斗」 「ほら、新一は自然に使い分けてるじゃん」 「・・・・・・ぅ・・・ん!変なとこ触んなっ」 「今更でしょう、名探偵?それとも今日は隣で寝るだけにしますか?」 「あっ!やっ・・・・・・キ、・・・ド・・・」 「椅子に座ったままスル?新一はどっちがいい?」 「・・・・・・・・・・・・あっち」 震える指がさした先には綺麗にシーツが掛けられたベッド。キッドと快斗の両方に攻められた新一はすっかり陥落して欲望に忠実になっていた。 結局のところ、俺だって名探偵と呼ばれるのが嫌いなわけではない。彼がそう呼ぶのは俺だけだから。探偵君であれ名探偵であれ、呼ばれて感じるのは二人の間に立つ壁の存在。俺が探偵である以上キッドがこちらに踏み入ってこないのではと危惧をしているのだ。 もっと近い存在でありたくて、そう在る自分を確認する為の今のこの行為。その最中くらい名前で呼び合ったっていいだろう? 「かい、・・・とっ!・・・・・・・・・かいとっ・・・」 「・・・・・・新一、キモチイイ?」 首を縦に振って、更に名前を呼び続けると快斗は俺の首に顔を埋めて一層激しく攻め立てた。顔に触れる柔らかい髪の感触がくすぐったい。それ以上に下肢に奔る刺激に身体が震えた。 こうやって混ざり合っている間は不安に駆られることはない。怪盗と探偵としての時間だけが、俺を苛むのだ。 .end |
お題とあってない・・・?彼が名探偵と呼ぶのは大好きですよ、わたし。