いつか












『・・・・・・・!』
「オレが知るかよ、てめーで勝手に決めろよ」
『・・・・・・・・』
「これ以上話しても電話代の無駄」
『・・・・・・・・』
「あーもーうるせーなー・・・切るぞ」


ブチッと通話を切った快斗は携帯電話をソファに放り投げた。


「ほんと、うざってー」
「・・・誰からだったんだ?」

新一が雑誌に目を通しながら快斗に聞くと、構ってもらえて嬉しいのか新一に擦り寄って耳元で囁く。

「元カノ♪」

またか・・・

新一がそう思うのも無理がない。それほど、快斗の携帯にかけてくる女性は多い。その度に冷たくあしらう快斗に安心しつつも、心のどこかでそれを怖いとも思う。


「もっとすっぱり別れられねーのかよ?」
「だってオレってばいい男だから、まだ好きなの〜って縋ってくる子が多いんだよねぇ」
「あ、そ」


さして興味がない振りをして雑誌に視線を落とす。


「新ちゃん、ちょっとは嫉妬してよー」


してるに決まってんだろ?お前だって気付いてる癖に・・・・・。


「おまえの電話の対応が冷たすぎてその女の子たちが可哀想にすら思えるよ」
「だってもう付き合ってないんだぜ?なのに会いたいっつわれても困るじゃん?そーゆー諦めの悪い子にははっきり言わないとね」
「にしても、他に言いようがあんだろーが」
「・・・・・邪魔なんだよ、せっかく新一と二人っきりなのに他の奴の声聞くなんて気分悪いじゃん」
ね?と艶を含む声で新一の耳元に囁くとそのまま耳を甘噛みする。


「ちょっ・・・・・やめっ!」
「ほんと耳弱いね〜」
「しゃべんなっ!」

耳に直接言葉を吹き込まれて新一がびくりと身体を震わせた。

「かわいいv」
涙目で非難をするとニヤけた二枚目がそう言って新一を抱きしめる。


実は抱きしめられるのはすごく好きだ。他の人間には極力触られないようにするが快斗にはむしろ触れて欲しいと思う。
こうしているとこいつの匂い、感触、鼓動が直に伝わって、側にいるのだと安心できる。

快斗が新一の頭をすっぽりと胸に埋めて撫でていると、されるがままになっていた新一が快斗の背に腕を回してきゅっと力を入れた。


「新一もオレといちゃいちゃしたかったのー?」
嬉しさのあまり緩みきった顔で聞き、顎の下辺りにある新一の黒髪にキスを落とす。

「ああ、お前が近くにいるうちにな・・・・・」
「えっ?なに?」
「・・・・・なんでもない。今日、泊まってくか?」
上目遣いで問えばさらに快斗の顔の締りがなくなる。いつものことだがせっかくの男前が台無しだ・・・・・
「新ちゃんのお許しが出るなら泊めてもらう〜」
「・・・・・いいよ」

わかりやすく照れながら快斗の背に回した腕の力を強めた。

「新一?今日は随分かわいいね」


バカヤロウ、捨てられたくないからだよ



俺にもいつか快斗に邪魔だと思われる日が来るのかな?

そう思うととても怖くて、一人でなんて寝れないよ・・・・・・・