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夏休みに入ってから暇さえあれば工藤邸にやってくる神経の太い人物がいた。

「しんいち〜、トランプしよう!」
「間の抜けた声をだすな」
「ひどいよ!」


読書中の名探偵ほど冷たいものはないな、などと大袈裟に肩を疎めてタメ息をついているのは世間を騒がす大怪盗である。

(時々嘘ついてんじゃねーかと思うけどな)
新一がそんなことを考えているとは露知らず快斗はめげずに「名探偵ー、トランプしようよー」と言い続けている。
「なんでいきなりトランプなんだよ?」
ようやく関心を示してくれたことに一気に快斗の顔がほころんだ。新一がこの顔に弱いんだよなと思っていることは快斗には秘密だ。
「よくぞ聞いてくれました!俺、初めて名探偵と会った時さ、中森警部にjokerを味方につけてるって言ったんだ」
「joker?」
「そ、名探偵のことv それでなんとなく新一とトランプしたことないな〜と思って」
「・・・・・・・おい、それがトランプするって言い出した理由か?」
「そうだよ?」
きょとんとした顔しやがって。いい男が台無し・・・・・ってそーでなくて!読書の邪魔をされたにも関わらず怒る気になれない・・・。普段はすごい不機嫌になるのに。こいつほんと得な性格だよな。思わず遠い目をしてしまった新一に快斗が心配げに手をひらひら振っている。
「おおーい、名探偵ー」
「ああ、トランプするんだろ?やるよ」
「ほんと?やったー!」
子供かよ、お前・・・・・・
快斗がどこからともなくトランプを取り出してトランプを配る。配る動作はやはりマジシャンのもので流麗なそれに思わず見とれてしまう。
「そういえば、なんで俺がjokerなんだ?」
素朴な疑問を言うと快斗がニヤリと笑った。なんか嫌な予感・・・・・。
「俺ね、あんなに追い詰められたの初めてだったんだ。白馬のヤローとはタイプが違っていたし、警察内部の人間ならもっと早く気付いただろうし、誰か特別な頭のきれる人が協力してるなと思ったんだよ。だからjoker。」
「・・・・お褒めに預かり光栄ですよ。kidさん」
「今は快斗だよ、名探偵?」
そのいいかた矛盾してるぞ。
「お前だって名探偵っつってんだろ?」
「俺はいいの。この呼び方気に入ってるから。はい、全部配ったよ。何しよっか?」
不敵な笑みをしまってにっこり顔で俺に聞いてきた。俺もkidって呼ぶの嫌いじゃないって言おうとしたのに流されたな・・・・・。
「大貧民でいいんじゃね?」
「渋いね、工藤さん・・・・・」
今度は工藤さんかよ。つーか大貧民を馬鹿にすんな!
「いいじゃねーか、最近学校でやって意外におもしろかったからさ」
「名探偵、学校でトランプするんだ・・・・。ま、いいよ。大貧民ね。せっかくだから罰ゲームありでしようね。勝ったほうが負けたほうの言うこと聞くってことで」
反論する間もなく快斗が捲くし立てた。反論してもこいつの口車に乗せられて結局同じことになるしな。快斗との短い付き合いの中でしっかりと快斗口の上手さを理解している新一であった。
「わーったよ」
その瞬間快斗がまたニヤリと笑って
「じゃあ、決まりだね。負けないよ、新一?」
うっ、もしかしてやばい?こいつぜってーなんか企んでる・・・・。よく考えたらトランプなんてこいつの超得意分野じゃねーか!しまった・・・・・。


くく、困ってるな新一。そんな顔もかわいいんだから。しかし、大貧民なんて2人でするもんじゃないでしょう?なんで事件が絡まないとこうも鈍いかなぁ。そこがまたいいんだけどねv 悪いけど俺の野望の為に負けてもらうよ。
「はい、終わり」
「はっ??いつの間に!くそう、マジかよ・・・・・」

ごめんね、新一。話しながら配る時に細工させてもらったよ。(やっぱりか)これも全部新一に俺のこともう少し意識してもらいたいからなんだよ。


快斗がこんな行動に出たのは新一の無防備さが起因となっていた。もう気持ちも伝えていて後は新一の答えを待つだけだというのに肝心の答えをなかなかくれない。男に告白されて平気で一緒にいられる時点でオッケーなのだと甘く見ていたが、いつまでたっても態度の変わらない新一に流石の快斗も不安になってきた。

もしかして忘れられてる?そんなバカな!じゃあこのままなぁなぁな関係を続けていくつもりか?冗談じゃない。俺が望むのはそんな簡単な関係じゃない!

そんな快斗の心の葛藤を他所に当の新一は快斗が泊めてと言えば平気で泊めるし、風呂上りにタオルを巻いただけでうろうろしてみたり、快斗の作った料理を満面の笑みで食べたりと快斗にとっては幸せで、ある意味非常につらい状態が今まで続いていた。


快斗の目が鋭くなり、新一をじっと見つめた。
初めは新一の側にいられればいいと思っていたけど、他の人と笑って話す新一を見ていたらそれだけでは満足できなくなっていた。自分のことだけを愛してほしいし、その証拠も欲しくなってしまったんだ。今日こそはっきりさせるよ、新一。

「じゃあ何お願いしようかな・・・・?」
もう決まってるけどね。
向かいあって座っていたソファから新一の横に移動してにこにこ笑って言う快斗はこの上なく凶悪に見えるから不思議だ。

こいつ・・・・・!さっきのかわいらしさはどこいったんだよ!

新一の肩に手を回して耳元で囁く。
「キスさせて?」



新一が快斗の言葉の意味を理解する前に口唇が重なった。
新一はとっさのことに目を開けたままいつになく間近にある快斗の顔を見ていた。快斗がそれに気付いて顔を離した時にわずかに寂しさを感じ、それに新一自身戸惑っていた。
「新一、目閉じて」
熱をこめた、それでいて慈愛に満ちた快斗の目に現実感が遠ざかっていく。雰囲気に流されて素直に目を閉じると快斗がさっきより強く口唇を合わせてきた。

なんか…これって恋人同士みたいじゃねぇ?確かに快斗が自分のこと、その・・・・・好き、だってのは聞いたけど、こんな風にしてきたのは初めてだし、俺は快斗のことどう思ってるのかまだよくわかんねぇし・・・・・・って舌入ってるって!あ、でもイヤじゃない・・・・・むしろキモチイイかも。こいつ上手すぎ。ずいぶん慣れてるみてーだし・・・・・?いつの間にか俺、快斗の首に腕回して自分からくっついてるし。これじゃ俺が催促してるみてーじゃんか!

快斗はというとただ口唇を合わせるだけにしようと思っていたのに、思いもよらず新一が腕を回してきたことに理性が緩んで、つい舌を絡めてしまった。新一の口唇薄いのに柔らかくてすげー気持ちいい・・・・・。このまま押し倒してしまいたい!が、ここは我慢だ、俺。あ〜新一すり寄ってきてくれるのは嬉しいけどこれじゃ理性が持たないよぅ。
快斗が口唇を離すと新一は息苦しさのために肩を揺らして呼吸をしていた。快斗が離れた寂しさからか無意識に咎めるような目になっていたらしい。快斗がちょっと困った顔をして言う。
「そんな顔してたら、このまま抱いちゃうよ?」
「な、なん・・・・・抱っ///」
今さっきまでかなり情熱的なキスをしていたことと快斗の爆弾発言に一気に顔の温度が上がるのがわかる。そんな新一を笑顔で見ている快斗。内心は新一かわいいv といったところだろう。
「それより、お前なんでいきなりこんなこと・・・・・」
「いきなりじゃないよ?ずっとこうしたいと思ってた。出会ったころからね。それに新一がなかなか返事くれないから急かしてみようかと思って」
なんの返事かなんてわかりきっている。それほど俺はこいつを待たせているんだ・・・・。
「俺、そういうのよくわかんねぇ。ちゃんと人と付き合ったことないし・・・・」
「じゃあ、さっきのイヤだった?気持ち悪かった?」
そんなわけないよね?気持ち良さそうな顔してたもんね。

「イヤじゃないし、気持ち悪くもなかった」
即答してくれる新一に頬が緩むのを隠せない。
「なら、俺が抱くって言ったときはどうだった?」
そういうとまた新一の顔に赤みがさして俯いてしまった。
「なんか、恥ずかしかった・・・・」
それに心臓がずっとドキドキしてる。ぜってー今心拍数すごいことになってる。
「そっか、イヤじゃなかったんだね?なら、今度試してみようね〜」
それを聞き新一が口をぱくぱくさせて声にならない声を発しているところに追い討ちをかけて言う。
「そうすればきっと新一が俺をどう思ってるのかわかるよv」
こうやって話している間も快斗の両腕はちゃっかり新一の腰に回されていて、新一の腕はずっと快斗の首に固定されたままだ。
この状況でずっといられるってすごいことなんだよ?新一くん?恋愛経験の少ない新一にはわかってないみたいだけど。せっかくだからもっとキスしちゃおう。何やら考え込んでいる新一の頬にちゅv とすると驚いてこっちに顔を向けた。その瞬間に口唇を奪う。下唇を軽く食んで舌で唇をなぞる。熱に浮かれた目で俺を見て、また甘い雰囲気に身を任せてしまう新一。君がこんなことを許してるのは俺を受け入れてる証拠じゃない?早く気付いてほしいけど、待つのはもう慣れたし、君の気持ちも確認できたからあとは君のペースでゆっくり理解して?

ほんとに鈍い僕の名探偵、早く僕と恋愛しようねvv

















ひたすら新一さんが鈍い・・・。最初と最後のキャラが違う風に見えるのは気のせいです。(きぱ)ゲームをポーカーにしなかったのはルールを知らんからです。わたしあほですから。