red shadow




「ねぇ新一…どうしてエリートがレッドを着るか知ってる?」

 知らない、そんなこと知りたくもない。

「赤はね、返り血を目立たなくする為なんだよ」







「快斗っ…!!」
 がばっと上体を起こした新一は荒く息を吐いた。手が白く張り詰めるほどに布団を握り締め、額からは冷たい汗が流れている。
「どうしたの?新一…」
「何でもない…ちょっと夢見が……」
 横にいる快斗が新一の肩を抱くが、新一の震えは治まらない。新一の視線が、床に投げ出された快斗の軍服に向けられている事に快斗は気づかなかった。

 エースパイロットの快斗だが、コックピットに閉じこもってばかりいるのではない。必要だからこそ銃の訓練も受けているし体術も心得ているのだ。時には生身で敵地へ乗り込むこともあり、そこではその技術の高い者が生き残る。

 お前と再会したのは正にそんな時だったな。

 新一は大きく呼吸をすると、ベッドから床に手を伸ばして快斗の軍服を拾い上げた。

「寒いの?それ着てる?」
「ううん……なぁ、快斗…」
「なに?」

 新一はいいと言ったが、生肌を晒す新一に快斗の方が我慢ができなくなったのか、快斗は新一の手からそれを取って軽く羽織らせた。
 新一はその滑らかな布を掴んだ。

「どうして、ザフトのエリートパイロットはレッドを着るんだ…?」
「え、なんだろ…かっこいいからじゃない?」

 いとも軽くそう言う快斗に、新一はきょとんと視線を宙に浮かせた。

「夢見が悪いなら、起きる?それとも手繋いでもう一回寝ようか?」
「…寝る」

 快斗の言葉を聞いて、明日も朝から会議だったなと新一の思考は一気に現実に戻った。

 新一は快斗と指を絡ませてもう一度眼を閉じた。その後の寝顔はとても穏やかなものであったとか。





end










快斗くんがとぼけているのか本気で覚えていないのかはご想像にお任せします。