無理やりホワイトクリスマス






「ぬわぁんだってぇぇええ!!」
「煩いぞアスラン!今何の時間だと思ってる!」

 新聞を破らんばかりの勢いで広げるアスラン。それを大声で注意する委員長のイザーク。このような風景は江古田高校では日常茶飯事であった。よって生徒はおろか教師さえも彼らにつっこむことはしない。
 今は授業中だよ。とも、君の声のほうが煩いよイザーク君。などとは誰も。

 アスランの叫びの元となった記事は週間天気予報である。
 なぜならば、彼のたいそう楽しみにしていたイベント、クリスマスがイヴ翌日ともに晴れなのだ。昼から夜まで雲すらかからない。普段ならそれが理想的な天気だと言えるかもしれないが、いかんせん、その日はクリスマス。根拠もなく雪が降ると信じ込んでそのように計画を立てていた彼には大打撃なのだった。

 キラと俺のロマンチックなホワイトクリスマスが……!

 アスランはとても凝り性だった。そしてムードを大切にする男だった。

 雪なしでクリスマスが送れるかっ…なんとかせねば!

 加えて時々無駄遣いをする優秀な頭脳を持っていた。



「ねぇアスランv」
「なんだキラvv」
「クリスマス、さ…どっちの家で過ごす?」
「家には親がいるから、やっぱりキラの家かな?いつもで悪いけど」
「ううん、いいんだよ。わかった!ちゃんと掃除しとくね」
「あんたたち暑苦しいからさっさと帰ってよね!」
「フ、フレイ…」
「ちっ、相変わらず煩い女だ…」
「こんなとこまでキラを迎えに来る暇があったら、高校のHR出てきなさいよ!」

 ふん!と顔を背けると、横からバカップル(特にアスラン)を一喝した少女は髪をかき上げて体育館へと駆けて行った。
 アスランはその後姿をみて、なぜHRを抜けて来ていることを知っている!?と拳を握った。

 フレイに言われたとうりさっさと帝丹を去ってキラの家で寛ぐアスランとキラは。

「アスラン、僕ねクリスマスプレゼントもう買ったんだよー」
「俺もだ。今年はホワイトクリスマスだからな」
「ええ?今年は晴れるんだよ?」
「いや、雪が降るんだ」
「そうなの?」
「ああ」
「アスランが言うなら降るのかもね。だったら楽しみだなぁ」
「楽しみにしてような、キラ」

 笑って言うキラを見て笑顔を返すアスランだが、この時点ではまだ雪の解決策は見出せないでいるのだった。






*** そんなこんなでクリスマス当日 ***


 アスラン遅いなぁ…

 キラは自宅のリビングで膝を抱えていた。8時にやってくると言った恋人が、30分過ぎた今も連絡すら寄こさない。普段のアスランは早過ぎることはあっても遅刻など決してしないのが常であった。キラの表情に徐々に不安の色が滲む、その時。

 pipipipipi…pipipipipi…

「ア、アスラン…!?」
『キラ、出るのが早いな』

 携帯に飛びついたところを見られた気がして、機械の向こう側でアスランがクスと笑う様子にキラは強がりを言う。

「だって、君、雪が降るって言ったのに降ってないから文句言おうと思って!」
『雪なら降ってるだろう?外見てご覧』
「え?………うわぁ、本当だ!」

 あれ、でも何だろう?一粒がおっきいような…それに空からバリバリ音が聞こえる…

 キラは窓を開け、白くひらひらと舞うそれを手に取った。それは白い花片だった。
 その匂いをかいで薔薇の花だとわかったキラは、頬を紅潮させて電話口に呟いた。

「ありがとう、アスラン」

 キラ!なんて可愛いんだ…!

 アスランの労力が報われた瞬間だった。ヤマト邸上空を飛ぶヘリの助手席から籠一杯の花びらを落としていたのは何を隠そうアスランだった。あるところからそのようなサービスがあるとの情報を入手した彼だったが、何分学生の身。高額なそれを支払う能力はなく、仕方なしにヘリを失敬し、自宅の薔薇園から花びらをもぎ取って自力で行うことにしたのだ。ヘリの操縦はキッドの助手にお任せだ。
 暫くの間マジックでは赤い薔薇しか使えない事になるが、そんな事はどうでもいい彼だった。

 ヘリから雪(花びら)を振り撒き、キラの喜ぶ顔に頬を緩ませるアスランだが、花びらがあと少しでなくなるという時重要な事態に気がついた。

「うっ、このままではキラと一緒に雪を見れないじゃないか!」

 アスランはあくまでもキラと肩を寄せ合って雪を見たかったのだ。
 切羽詰った怪盗のとる手段は唯一つ。
 アスランは躊躇いもなくヘリから身を投げた。

 当然のことながら、地上に着地したキッドは目立つことしちゃダメでしょ!とキラに怒られるのであった。




end










彼はやります
ネタはさん○ス○ップより。あれが30万ってびっくり。