イザークの
行列のできるお悩み相談室 v








 どういうことだ!これはっ!
 なぜ俺がこんな事をさせられている!?
 これは江古田の魔女の役目だろうが!


 盛大に文句を言っているイザーク様はさておき、さっそく一人目のお客様です。


* アスランの場合


「同じ高校のよしみで来てやったぞ、イザーク」
「フンッ!」
「ところでその恰好と水晶はなんだ?」
「衣服のことについては触れるな!!水晶は覗けば何でもわかるんだ!だからこの役目は俺じゃなくとも…」
「そうか…ならばどうすればキラに俺の愛情が伝わるかを見てくれっっ!!」
「貴様ぁ!まだ懲りずにあの探偵の尻を追っかけているのか!もっとキッドたる威厳を…」
 ガチャ
「早くしろ」
 トランプ銃の銃口をイザークの顎の下にあて微笑むザラさま。
「クソ!犯罪者が……」
「イザーク?悪いが俺は気が短いんだ」
「後で覚えていろっ!」
 イザークは顎に感じる金属の冷たさに腰を引きつつ、水晶に両手を翳した。すると水晶の中にモヤが立ち込め、一度真白になると徐々にそれが晴れてゆく。そこに見たものは。
 誰もいないビルの屋上に佇むキラ。瞳は僅かに潤み、手の甲でそれをぐいと拭うと、厳しい表情をして空を見上げる。キラの視線の先に居たのは白い怪盗であった。
 キラの心とシンクロしたイザークに伝わってくるのは慕情と…不安。
「おい、…貴様、銃を退けろ」
「なんだ?」
「結果は出た。お前の好きなキラに愛情が伝わっていないのではない。逆だ。お前に伝わっていないのだ。……これ以上言う事はない!さぁ帰れ!!」
 イザークが全て言い終えた頃にはアスランの姿はもうなかった。
 遠くで「キラーーッ!」と叫ぶ声が聞こえる。イザークは髪を揺らせて呟いた。

「フン!今回のは見なかった事にしておいてやる!」
 キッド、俺がお前を捕まえるのは言い逃れできぬ証拠をつかんだ時だ!


 本来は探偵である事を主張しつつ次のお客様へ。


* ディアッカの場合


「よっ!久し振りだなイザーク」
「冷やかしなら帰れ」
「またまたー、俺に会えて嬉しい癖にv」
「なっ、誰が!貴様などっ」
 明らかにアスランの時との対応が違うイザーク。学ランのまま大阪からやって来た彼にはあまり嫌悪感がないようだ。
「当たるって評判だから来てみたんだ。せっかくだからなんか見てくれよ」
「俺は忙しい。手短に言え!」
「んーとな、俺の幼馴染みにミリアリアってのがいるだろ?俺はミリィっつってんだけど」
「あの外ハネのか」
「そうそう、ってそれミリィの前で言うなよ…。殺されっぞ。んでそのミリィが最近冷たいんだけど、なんでかなぁと思ってな」
「下らん。そんなことすぐに調べてやる」
 イザークは先程と同じように翳した手の隙間から水晶を見た。
「……成程」
「なんだなんだ?」
「お前にとって良い情報とは言えないが…それでも聞くか?」
「ああ」
「そのミリアリアとかいう女、お前と東の名探偵を天秤にかけると、どうやら後者の方が重いようだな」
「なんだって!?俺よりキラが好きだってことか?」
「そうなるな。フン、近くにいて気付けないとは…コシヌケにもほどがある!」
「……グ、グレイトォーー!!」
「なんだ貴様??」
「これで心置きなくお前を口説けるってことだな」
 ふっと笑ったディアッカはイザークの頬に手を滑らせて、
「今度の日曜、お前の家に行くからよろしくな?」
「な、ななな何を勝手に!」
「じゃあな〜v」
 ちゅっと投げキッスをしてディアッカはイザークの相談室を出て行った。
 手を伸ばしたまま固まったイザークだけが虚しく部屋に残る。よって頬が紅潮しているのは本人のみが知ることである。


 ノーマル、ヤヲイ入り乱れたところで次の方へ。


* キラの場合


(アスランのやつ入れ違ったな…いい気味だ)

「あ、あの…僕…」
「なんだ?」
 膝の上でもじもじと指を動かすキラを見ても、珍しくイザークはキレなかった。腕と足を組む尊大な態度ではあるが。
「相談があって…ある人のことなんだけど…同業者の君に聞くのも変な感じなんだけど…」
「アスランのことか?」
「えっ!なんでわかるの?!」
「お前は優秀な探偵にしては分かり易過ぎる」
 水晶を見るまでもないわ!
「その、…アスランがね、僕の事その、す、好きなんだって!愛してるって言われちゃって…」
「そうらしいな」
 とことん恥ずかしいやつめ!寒いわ!こいつも困っているではないか!
「その時僕は何も返事が出来なくて…それでもアスランは何度も言ってくるんだ。最近僕も一緒だって事に気がついて、ちゃんと言いたいんだけど…」
「言えないのか?」
「うん…」
「原因はわかっているんだろう?」
「アスラン、僕に隠してる事があるみたいで…それが気になって」
「お前のはコレを見るまでもない。不安を解消したければ今すぐ家に帰ることだ!以上!」
「え??」
「帰ればあのバカが制服のまま待っている。早く行ってやれ!」
 イザークの言葉にキラの顔がぱあっと花が咲いたように綻ぶ。
「ありがとう、イザーク!」
 笑顔で告げるキラにイザークは。
 なんでこんな可愛いやつがあんなコシヌケを好きになるんだ! と理解できないでいるのだった。



 はい、今日の仕事は終わりです。イザークさんお疲れ様でした。


 下らん!二度とやるか!こんなこと!!




end













他の人はまた今度。