※ 突然の学園モノ、同級生設定です。友情出演ディアイザ(笑






すれ違い



「アスラン……」
「う、なんだキラ…」
「また告白されたらしいね、君」
「あ、いや…もちろん断ったぞ!?」
「まぁ、僕には関係ないことだよね…」

 フンとそっぽを向いてしまったキラ。髪で隠れて眼が見えない分、怖さも倍増だ。周りの温度を氷点下まで下げてしまうのでは?というほどの負のオーラを撒き散らしながら自分の教室へと歩いて行ってしまう。いつもはお花でも見るかのようにキラを眺める生徒たちも今は遠巻きに様子を窺うに止まっている。

「なんだぁ?アスランお前またキラを怒らせたのか?」
「フンッ!相変わらずの腰抜けが!」
「ああー…、いちいち喧嘩売るなよ、イザーク!」

 背の高い色黒で精悍な顔立ちの男、ディアッカと彼とは正反対の雰囲気の女王様然とした銀髪の美青年、イザークがアスランに問いかける。とは言ってもイザークの方は挨拶代わりの憎まれ口といった感じだ。

「言っても言わなくても怒るんだよ、キラは…」
「お前ねぇ…」
「貴様があいつの事をわかってないだけだ!」
「おっ、言うねぇイザーク。同じ役割の者同士気持ちが分かるとか?」

 ディアッカがからかいながらイザークの肩に腕を乗せ、顔を赤くしたイザークは黙れ!と怒鳴りながらその手を叩き落している。だが、アスランにはその光景は視界の片隅で繰り広げられるバカップルの戯れであり、頭を占めるのはキラの事と先程のイザークの言葉だった。
 俺がキラの事をわかってない、だと…?そんな訳ないだろ。俺はいつだってキラの側でキラの事を見てきたんだ…!

「あっ、おい!アスラン!!」
「放っておけ!自業自得だ!」

 魂が抜けた様にふらふらとその場を去るアスラン。後ろからの声にも気付かずに、暗雲を背負って彼もまた教室へと戻った。



 はぁ…帰ったらどうしよう…
 授業後、アスランは自分の机に座り頭を抱えた。優等生の苦悩する姿を目撃したクラスメイトらは何事かと興味深げにアスランを見る。

 こういう時はいつもキラは先に帰っちゃうんだよな…それで俺が家に帰っても口を聞いてくれないんだ…
 実は同居中であったりする二人。いつものパターンを思い返しながら、アスランは深々と嘆息した。



「ただいまー…」
「……おか…り」

 玄関を開けるなりキラが現れてアスランは若干怯む。と、同時にいつもと違い反応を返すキラに少しの希望を抱く。だが、その希望も次の瞬間水泡と化すのだった。

「僕、今から帰るから」
「帰るって何処に…?」
「決まってるでしょ?自分の家にだよ」
「何を、そんな急にっ…!?俺があの事を黙っていたのがそんなに気に入らないのか!?」
「気に入らない?僕はそんな風に思った事一度も無いよ」

 止めようと伸びたアスランの腕を払って、玄関に大きな荷物を置く。どうやら本気で出て行くらしいキラにアスランの焦燥感が一気に膨れ上がる。

「待て!キラッ!!」
「離してよ…」
「お前は…これで終わりにするつもりなのか…?俺達の関係を…」
「そう…なるかな……」
「…………ぃ」
「………じゃあ、さよな」
「許さないよ、キラ」

 頭に血が昇って自分が何をしているのかよくわからなかった。この時は唯感情の赴くまま体の動くままを行動に移した。
 驚愕に眼を開くキラを横に抱き、抵抗を封じる為に深いキスをしながら寝室まで運んだ。既に理性の欠片も残っていなかった俺はキラをベッドに放ると、息を吐く間も与えずに覆いかぶさって乱暴にキラを抱いた。自分のつけた赤い痕にすら嫉妬してそれに歯を立てた。それは、悲しいかな今まで何度も身体を重ねてきた中で一番自分勝手なセックスだった…



「……ゴメン」
「謝るくらいならしないでよ」

 正気に戻った俺は消えたい気持ちを抱えてキラにそう告げた。すると何故かキラはふんわりと笑った。俺の好きなキラの笑顔で俺の頭を撫でてくれた。

「ありがとう、アスラン…自分を責めないで…」
「でも、キラを無理やり…」
「いいんだ。安心したから」
「キラ…」
「やっぱり、まだここに居るよ」
「まだ?いつの日か出て行くつもりなのか…?」
「さぁ、それは、わかんないけど…」

 曖昧に言葉を濁す、その様子が酷く不安を掻き立てた。思えば、突然帰ると言いだした理由も聞いていないのだ。

「キラ、何故いきなり帰ると言った?俺が何かしたなら言って欲しい」
「アスランのせいじゃないよ…」
「キラ!教えてくれないと俺達はまた同じ事を繰り返す事になる。だから…」
「僕の勝手な被害妄想だから言いたくない」
「俺が告白されたのを黙っていた事が原因なのか?」
「…………」
「あれはキラに言ったら余計な心配をかけると思って…」
「でも勝手に耳に入ってくるんだ。不思議だよね、アスランの事を本人から聞かずに知らない人から聞くなんて。しかも君がオーケーしたなんて言う人もいるし」
「そんな出鱈目なっ…」
「そうだよ、凄くいい加減な噂なんだよ。でもっ…それでも僕はっ…!ただ怒っていたんじゃない、寂しくて不安で君の口から『彼女ができたから別れよう』って言われるのが怖くて…!」
「キラ…」
「それなのに君はいつも通りで…一人で先に帰っても何も言わなくて、このままじゃ君の事を疑って嫌われるんじゃないかって思っ…」
「キラっ!」

 言いながら徐々に俯いて、シーツに染みを作るキラを抱き締めた。裸の胸は先の行為もあって未だ熱を持っている。嗚咽を漏らすキラを落ち着かせようと背中をゆっくりと撫でた。

「キラ、不安にさせてごめん…俺はキラのことわかってなかったんだな…」
「……っ…あす、らっ…ひっ」
「キラがそんな風に思っていてくれたのに、俺はただ怒ると思ったから隠してた」
「………うっ……うう」
「キラ、誰に告白されても何も感じない。キラの側に居る時だけだよ、俺がこんなにドキドキするのは」
「……それ、……ほんと…?」
「ああ」

 見上げるキラの頬の涙にキスをして、耳に吐息をおくり…

「ちゃんと優しくしたいから…いい?」
「…ぅん」


 それは久し振りに見たキラの満面の笑みだった。其れほどまで大切な胸の中の存在を苛ましていた事を詫びながら、優しく熔かすように抱いた。

 これからはキラの全てを受け止めるから、どうかもう出て行くなんて言わないで欲しい。
 俺の誰よりも愛しい人。

 厭と言うほどの愛の言葉を吐いて、キラと二人朝まで快楽の海に溺れた。





end














感嘆符無しに喋らせることができませんです…イザーク…